平成28年度「全国学力・学習状況調査」の結果概要について

平成28年度「全国学力・学習状況調査」の結果概要について

1.【 学力面について 】(平均正答率や課題等について)

【国語A問題】(主として知識に関する問題)

平均正答率は、大阪府平均とほぼ同等であり、全国平均をわずかに下回った。

特に、平均正答率を5%以上下回った『領域』は「書くこと」「読むこと」であり、『問題形式』は言葉や短い文で答える「短答式」の問題であった。

選択肢の中から答えを選ぶ択一式に比べて、自分で考え、それを言葉や文として書くことに課題がみられる。また、無解答率においても、「短答式」の問題で無解答率が高いことから苦手意識がうかがえる。

 

【国語B問題】(主として活用に関する問題)

 平均正答率は、大阪府平均をわずかに下回り、全国平均を下回った。

最も大きく下回った『領域』は「書くこと」であり、『問題形式』でみると、文章で答える「記述式」の問題で、10%以上下回った。

問題文をしっかり読みとり、その中から自分の考えをまとめたり、文章で表現したりすることに課題がみられる。

また、無解答率が10%を超えた設問の『問題形式』は全て「記述式」であり、問題に取り組む前に諦めてしまう傾向がある。

 

【数学A問題】(主として知識に関する問題)

平均正答率は、大阪府平均、全国平均ともにわずかに下回った。

平均正答率が10%以上下回った『領域』は「図形」であり、特に観点別の「知識・理解」に関する問題に多くみられる。このことから、数学的用語の意味や活用方法が身についていないことに課題がみられる。

一方で『領域』の中の「数と式」では、大阪府平均・全国平均ともに上回っている問題もあり、得意な領域と苦手な領域が明確になっている。

また、無解答率に関しては、大阪府平均、全国平均の無解答率をともにわずかに上回った。

 

【数学B問題】(主として活用に関する問題)

平均正答率は大阪府平均、全国平均ともにわずかに下回った。

特に、平均正答率が5%以上下回った『領域』は「図形」であり、証明に関する問題であった。等しい辺や角の表し方など証明の解き方に課題がみられる。

また『領域』の中の「角の大きさの関係を読みとる」という問題の正答率は、大阪府平均・全国平均とも上回っている問題もあり、難しい問題ではあるが問題に取り組もうとする姿勢がうかがえる。

また、無解答率に関しては、大阪府平均、全国平均の無解答率をともにわずかに上回った。

 

2.【生活面や学習状況について】(生徒質問紙から)※数字は「あてはまる」「どちらかと言えばあてはまる」の合計

①規則正しい生活に関する調査

「毎朝朝食を食べている」は88.8%(昨年度-3.4%)府90.8% 全国93.3%

「毎日同じくらいの時刻に寝ている」は74.8%(昨年度+5.7%)府72.9% 全国75.2%

「毎日同じくらいの時刻に起きている」は 90.0%(昨年度+1.6%)府90.5% 全国92.3%

*「毎朝、朝ごはんを食べる」など、基本的生活習慣を身につけることは重要である。

 

②学習面に関する調査

「平日の学校時間以外の1日の学習時間が1時間以上」は56.4%(昨年度-11.1%)

(府64.8% 全国67.9%)

「平日の学校時間以外の1日の読書時間が30分以上」は18.8%(昨年度+3.1%)

(府22.6% 全国28.2%)

「自分で計画をたてて学習している」は 43.6%(昨年度-4.6%) 府46.8% 全国48.4%

「家で学校の宿題をしている」は82.4%(昨年度-5.3%) 府86.6% 全国90.1%

「家で学校の予習をしている」は20.8%(昨年度+1.8%) 府29.5% 全国34.2%

「家で学校の復習をしている」は30.4%(昨年度-8.7%) 府40.3% 全国51.0%

*家庭学習の定着は重要である。

 

③ TV ゲーム スマートフォン 使用状況に関する調査

「1日に2時間以上TV、DVDを見る」は60.8%(昨年度-8%) 府37.2% 全国36.1%

「1日に2時間以上テレビゲーム(携帯ゲーム)をする」は53.6%(昨年度-2.8%)

(府37.2% 全国36.1%)

「1日に2時間以上携帯やスマートフォンでメール、インターネット、通話をする」は

44.8%(昨年度+0.3%) 府37.2% 全国36.1%

 

④ 学校生活に関する調査

「学校に行くのが楽しい」は79.6%(昨年度-4.3 %) 府79.5% 全国81.4%

「学校の規則を守っている」は95.2%(昨年度+0.9 %)府92.8% 全国94.7%

「友達との約束を守っている」は98.0%(今年度のみ) 府92.7% 全国97.2%

「いじめはどんな理由があってもいけないことだと思う」は 92.4%(昨年度+0.2 %)

(府92.2% 全国93.6%)

 

⑤ 自分についてに関する調査

「自分には良いところがある」は63.6%(昨年度+4.7 %)府64.9% 全国69.3%

「将来の夢や目標がある」は54.0%(昨年度-11.4 %)府69.4% 全国71.1%

*自尊感情を高め、将来の夢や目標をもつことは大切である。

 

3.【 課題解決に向けて 】

< 国語科より >

A・B問題どちらを見ても、「書くこと」に課題があることが分かる。また、特に「短答式」・「記述式」の設問で無解答率が高いことから、「書くこと」に対して苦手意識をもち、問題に取り組む前に諦めてしまう傾向があると考えられる。

また、「書く」ためには、「語彙力」や「ことばの使い方」など、基礎力が必要不可欠である。作文や小論文などを書く機会を増やして「書くこと」に慣れさせるなど、基礎力をさらに高め、総合力としての「書く力」を高めていきたい。

 

 

< 数学科より >

A・B問題ともに記述式の問題に関しては、大阪府平均、全国平均の無回答率を下回っている設問があり、問題に取り組もうとする姿勢はうかがえる。「ねじれの位置」「命題の逆」「同様に確からしい」など、数学的用語の理解や使い方が苦手であり、正解にむすびつかない状況が見られる。また数量関係などを、文字を用いて表すことに課題が見られる。

問題に対し、答えだけを求めるのではなく「なぜ?」という疑問を明確にし、問題の意図、意味を理解することは重要である。そのためにも言葉の意味を理解することの重要性を伝えていく。

《 学習面を通して 》

全ての教科に共通して、語彙力に課題が見られ、語彙の量が不足している。

言葉を覚えることが、「書く力」や「問題を理解する力」になり、「問題を解決する力」につながると考えている。

そのために、課題に対して自分の考えを自分の言葉で説明できることが重要である。また、他人の意見をしっかり聞き取り、理解していくことが大切である。

 

《 全体を通して 》

・昨年度に比べ、生活面では「毎朝朝食を食べている」「1日に2時間以上スマートフォンを使用する」の項目で、また学習面では「家での学習時間が1時間以上」「家で学校の宿題、復習をしている」「自分で計画をたてて学習している」の項目でマイナス面が見られた。このことより、学力と生活面には一定のつながりがあると考えられる。

本校では来年度に向けて、家庭学習の定着を図るため「放課後ゆめ教室(自習教室)」「各教科における週末プリント」などの取り組みを進めていきたい。

 

・「学校の規則を守っている」の項目は、95%以上が肯定的意見であった。これは、何事にもまっすぐ意

欲的に取り組むことができる生徒、規範意識の高い生徒の表れである。

 

・読書時間が全国平均に比べて低く、課題の一つである。読書時間について、学校司書の配置により、図

書室の整備、環境が図られ、貸出冊数の増加や図書室の利用者が増えて、本に親しむ環境が整いつつある。

 

・現在朝学習で取り組んでいる視写の充実を図るために、読書活動や新聞の活用など、5分間の内容について、今後も精選して取り入れていく。

 

・授業においても、読書活動を取り入れるなど工夫し、語彙力を身につけさせたい。

 

・「ユニバーサルデザインを取り入れた授業」に本校は継続して取り組んできたため、学習環境については一定の成果がみられている。

今後更なる向上を目ざすとともに教師の授業力向上に向けた研修に取り組む。

 

・自己肯定感を高めるために、学校行事や生徒会活動において、生徒が自主的、積極的に参加することにより達成感を感じられる場面や機会を更に増やしていきたい。またマイナス項目であった「将来の夢や目標がある」の項目については、将来の夢や目標を見つけられる生徒の育成のために、より具体的なキャリア教育の充実をはかる。

 

今回の調査結果を踏まえ、本校における子どもたちの現状(学力面・生活面)を把握するとともに、

成果と課題等について検証、研究し、今後の方策について取りまとめました。

特に、課題解決に向けては、子どもたちの実態に応じた方策を立てるなど、具体的に取り組みを進めてまいります。

一方で、子どもたちの学力向上、健やかな成長には、基本的生活習慣の確立、家庭学習の定着は欠かせません。また、スマートフォン等でのメール(ライン)やインターネットの使い方の指導など、家庭の協力なしにはできません。学校と家庭が連携を図りながら子どもたちと向き合うことが何より重要です。

子どもたちの健やかな健康のためにも、今後ともご理解、ご協力のほどよろしくお願いいたします。