藤井寺市立第三中学校 いじめ防止基本方針

令和5年5月1日

1.いじめ防止等のための対策に関する基本方針

(1)基本理念

・いじめは、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがある。
・本基本方針は、生徒の尊厳を保持する目的の下、学校・地域住民・家庭その他の関係者が連携し、いじめの問題の克服に向けて取り組むよう、いじめ防止対策推進法第11条第1項の規定に基づき、本校が、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策を総合的かつ効果的に推進するためのものである。
・本校では、「いじめは絶対許さない」という確固たる信念を持って、校長のリーダーシップの下、総力を挙げて取組む。
・全ての生徒が安心して学習やその他教育活動に取り組むことができるように、保護者や地域、関係者との連携を図りながら、学校全体でいじめの防止と早期発見に取り組むとともに、いじめが疑われる場合は、迅速かつ適切に事案に対処し、早期解決、及び再発防止に努める。

 

(2)いじめの定義

「いじめ」とは、生徒等に対して、当該生徒等が在籍する学校に在籍している等、当該生徒等と一定の人的関係にある他の生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった生徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。

※留意点

①個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた生徒の立場に立つことが必要である。
この際、いじめには、多様な態様があることに鑑み、法の対象となるいじめに該当するか否かを判断するに当たり、「心身の苦痛を感じているもの」との要件が限定して解釈されることのないよう努めることが必要である。
②いじめられていても、本人がそれを否定する場合が多々あることを踏まえ、当該生徒の表情や様子をきめ細かく観察するなどして確認する必要がある。
ただし、このことは、いじめられた生徒の主観を確認する際に(行為の起こったときのいじめられた生徒)本人や周辺の状況等を客観的に確認することを排除するものではない。
なお、いじめの認知は,特定の教職員のみによることなく、第22条の「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」(本校ではいじめ対策委員会)を活用して行う。
③「一定の人的関係」とは,学校の内外を問わず、同じ学校・学級や部活動の生徒や、塾やスポーツクラブ等の当該生徒が関わっている仲間や集団(グループ)などをさす。
④「物理的な影響」とは、身体的な影響のほか、金品をたかられたり、隠されたり、嫌なことを無理矢理させられたりすることなどを意味する。外見的にはけんかのように見えることでも、いじめられた生徒の感じる被害性に着目した見極めが必要である。
さらに、例えばインターネット上で悪口を書かれた生徒がいたが、当該生徒がそのことを知らずにいるような場合など、行為の対象となる生徒本人が心身の苦痛を感じるに至っていないケースについても、加害行為を行った生徒に対する指導等については法の趣旨を踏まえた適切な対応が必要である。
しかし、加えて、いじめられた生徒の立場に立って、いじめに当たると判断した行為でも、その全てが厳しい指導を要する場合にあてはまらないケースもある。具体的には、好意から行った行為が意図せずに相手側の生徒に心身の苦痛を感じさせてしまった場合、行為を行った生徒に対して、悪意はなかったことを十分加味したうえで、学校は対応する必要がある。
⑤具体的ないじめの態様は、以下のようなものがある。
・冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる、仲間はずれ、集団による無視、軽くぶつかられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする。
・ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする。金品をたかられる、金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする。嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする。
・パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷を書き込む等

これらの「いじめ」の中には,犯罪行為として取り扱われるべきと認められ、早期に警察に相談することが重要なものや、生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような、直ちに警察に通報することが必要なものが含まれる。
これらについては、教育的な配慮かつ被害者の意向を十分踏まえた上で、早期に警察へ相談・通報、警察と密に連携した対応を取ることが必要である。

 

(3)いじめの禁止

生徒は、いじめを行ってはならない。(いじめ防止対策推進法 第四条)

 

2.本校における「いじめの防止」「早期発見」「いじめに対する措置」のポイント

→「大阪府教委作成いじめ対応マニュアル」参照

(1)取組姿勢について「いじめは絶対に許さない」
・本校では、「いじめは絶対に許さない」という確固たる信念を持って、校長のリーダーシップの下、全ての教職員が総力を挙げて取組む。

(2)いじめの防止
① 基本的考え方
ア)いじめの未然防止に、全ての教職員が取り組む。
・いじめは「どの生徒にも起こりうる、どの生徒も被害者にも加害者にもなりうる」という事実を踏まえ、生徒の尊厳が守られ、生徒をいじめに向かわせないための未然防止に、全ての教職員が取り組む。

イ)集団づくり、仲間づくりをすすめる。
・未然防止の基本として、生徒、周囲の友人や教職員と信頼できる関係の中、安心・安全に学校生活を送ることができ、規律正しい態度で授業や行事に主体的に参加、活躍できるような授業づくりや集団づくり、学校づくりを行っていく。
・生徒に集団の一員としての自覚や自信が育まれることにより、いたずらにストレスにとらわれることなく、互いを認め合える人間関係・学校風土を生徒自らが作り出していくように取り組む。

ウ)未然予防の取り組みの成果について、P(lan)計画D(o)実行C(heck)
評価A(ction)改善サイクルに基づく取り組みを継続する。

・未然防止の取り組みが、着実に成果を上げているかどうかについて、日常的に生徒の行動の様子を把握したり、定期的なアンケート調査や生徒の欠席日数などで検証したりして、どのような改善を行うのか、どのような新たな取り組みを行うかを定期的に検討し、体系的・計画的にPDCAサイクルに基づく取り組みを継続していく。

 

② いじめの防止のための取り組み
ア)いじめについての共通理解を図る
・いじめの態様や特質、原因・背景、具体的な指導上の留意点などについて、校内研修や職員会議で周知を図り、平素から教職員全員の共通理解を図っていく。
・生徒に対しても、全校集会や学級活動(ホームルーム活動)などで校長や教職員が、日常的にいじめの問題について触れ、「いじめは人間として絶対に許されない」との雰囲気を学校全体に醸成していく。

イ)生徒が、いじめに向かわない態度・能力の育成
・学校の教育活動全体を通じた道徳教育や人権教育の充実、読書活動・体験活動などの推進により、生徒の社会性を育むとともに、幅広い社会体験・生活体験の機会を設け、他人の気持ちを共感的に理解できる豊かな情操を培い、自分の存在と他人の存在を等しく認め、お互いの人格を尊重する態度を養う。

・また、自他の意見の相違があっても、互いを認め合いながら建設的に調整し、
解決していける力や、自分の言動が相手や周りにどのような影響を与える
かを判断して行動できる力など、生徒が円滑に他者とコミュニケーション
を図る能力を育てる。
・取り組み例
①ソーシャルスキル・トレーニング」:「人間関係についての基本的な知識」「相手の表情などから隠された意図や感情を読み取る方法」「自分の意思を状況や雰囲気に合わせて相手に伝えること」などについて説明を行い、ロールプレイング(役割演技)等を通じて、グループの間で練習を行う取り組み。
②「ピア(仲間)・サポート」:異学年等の交流を通じ、「お世話される
体験」と成長したあとに「お世話する体験の両方を経験し,自己有用感や自ら進ん
で他者とかかわろうとする意欲などを培う取り組み。

ウ)いじめが生まれる背景と指導上の注意
・いじめ加害の背景には、勉強や人間関係等のストレスが関わっていることを踏まえ、授業についていけない焦りや劣等感などが過度なストレスとならないよう、一人ひとりを大切にした分かりやすい授業づくりを進めていく。学級や学年、部活動等の人間関係を把握し、一人一人が活躍できる集団づくりを進めていく。
・ストレスを感じた場合でも、それを他人にぶつけるのではなく、運動・スポーツや読書などで発散したり、誰かに相談したりするなど、ストレスに適切に対処できる力を育んでいく。
・教職員の不適切な認識や言動が、生徒を傷つけたり、他の生徒によるいじめを助長したりすることのないよう、指導の在り方には細心の注意を払う。教職員による「いじめられる側にも問題がある」という認識や発言は、いじめている生徒や、周りで見ていたり、はやし立てたりしている生徒を容認するものにほかならず、いじめられている生徒を孤立させ、いじめを深刻化する。

・下記の生徒を含め、学校として特に配慮が必要な生徒については、日常的な支援や組織的指導が必要である。
○発達障害を含む障がいのある生徒
○海外から帰国した生徒や外国人の生徒
○性同一性障害、性的指向や性自認に関わる生徒
○東日本大震災などによる被災生徒や原発事故による避難生徒

 

エ)生徒に自己有用感や自己肯定感を育む
・ねたみや嫉妬などいじめにつながりやすい感情を減らすために、全ての生徒が認められている、満たされているという思いを抱くことができるよう、学校の教育活動全体を通じ、生徒が活躍でき、他者の役に立っていると感じ取ることのできる機会を全ての生徒に提供し、生徒の自己有用感が高められるように努める。その際、当該学校の教職員はもとより、家庭や地域の人々などにも協力を求めていくことで、幅広い大人から認められているという思いが得られるよう工夫する。
・自己肯定感を高められるよう、困難な状況を乗り越えるような体験の機会などを積極的に設ける。
・社会性や自己有用感・自己肯定感などは、発達段階に応じて身に付いていくものであることを踏まえ、異学校種や同学校種間で適切に連携して取り組むようにする。
・幅広く長く多様なまなざしで生徒を見守ることができるだけでなく、生徒自らも長い見通しの中で自己の成長発達を感じ取り、自らを高めることができるようにする。

オ)生徒自らがいじめについて学び,取り組む
・生徒自らがいじめの問題について学び、そうした問題を生徒自身が主体的に考え、生徒自身がいじめの防止を訴えるような取り組みを推進(生徒会によるいじめ撲滅の宣言や相談箱の設置など)する。
・「いじめられる側にも問題がある」「大人に言いつける(チクる)ことは卑怯である」「いじめを見ているだけなら問題はない」などの考え方は誤りであることを学ぶ。あるいは、ささいな嫌がらせや意地悪であっても、しつこく繰り返したり、みんなで行ったりすることは、深刻な精神的危害になることなどを学ぶ。
・生徒会がいじめの防止に取り組む事は推奨されることであるが、熱心さのあまり教職員主導で生徒が「やらされている」だけの活動に陥ったり、一部の役員だけが行う活動に陥ったりする例もあるので留意するようにする。
・教職員は、全ての生徒がその意義を理解し、主体的に参加できる活動になっているかどうかをチェックするとともに、教職員は陰で支える役割に徹するよう心がける。

 

(2)早期発見

① 基本的考え方(子どものささいな変化を見逃さない取り組みの継続)

・いじめは大人の目に付きにくい時間や場所で行われたり、遊びやふざけあいを装って行われたりするなど、大人が気付きにくく判断しにくい形で行われることを認識する。
・たとえ、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って、早い段階から複数の教職員で的確に関わり、いじめを隠したり軽視したりすることなく、いじめを積極的に認知する。
・日頃から、生徒の見守りや信頼関係の構築等に努め、生徒が示す小さな変化や危険信号を見逃さないようアンテナを高く保つとともに、教職員相互が積極的に生徒の情報交換を行い、情報を共有していく。
・指導に困難を抱える学級や学年では、暴力を伴わないいじめの発見や早期対応が一層難しくなる点に注意する。例えば、暴力をふるう生徒のグループ内で行われるいじめ等、特定の生徒のグループ内で行われるいじめについては、被害者からの訴えがなかったり、周りの生徒も教職員も見逃しやすかったりするので注意深く対応する。

②いじめの防止や対策のための組織

「いじめ対策委員会」を設置し、定期的に取り組みをすすめる。

具体的な内容は以下のとおりとする。

ア)構成員

校長、教頭、首席、こども支援コーディネーター、支援教育コーディネーター、生徒指導主事、学年主任、生徒指導部、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー(事案による)、関係教員(事案による)

イ)活動内容

・いじめの防止に関すること
・いじめの早期発見に関すること
・いじめ事案への対応に関すること
・生徒指導事案や不登校傾向にある生徒の情報交換とその対応に関すること

ウ)開催

・原則として月1回開催する。

 

③いじめの早期発見のための措置(アンケート、教育相談等の実施)

定期的なアンケート調査や定期的な教育相談の実施等により、いじめの実態把握に取り組むとともに、生徒が日頃からいじめを訴えやすい雰囲気をつくる。
また、保護者用のいじめチェックシートなどを活用し、家庭と連携して生徒を見守り、健やかな成長を支援していく。
生徒及びその保護者、教職員が、抵抗なくいじめに関して相談できる体制を整備するとともに、生徒や保護者の悩みを積極的に受け止められているか、適切に機能しているかなど、定期的に体制を点検すること、保健室や相談室の利用、電話相談窓口について広く周知する。
なお、教育相談等で得た生徒の個人情報については、対外的な取扱いの方針を明確にし、適切に扱うものとする。
定期的なアンケートや教育相談以外にも、いじめの早期発見の手立ては、休み
時間や放課後の雑談の中などで生徒の様子に目を配ったり、個人ノートや生活ノート等、教職員と生徒の間で日常行われている日記等を活用して交友関係や悩みを把握したり、個人面談や家庭訪問の機会を活用したりする。
なお、これらにより集まったいじめに関する情報についても学校の教職員全体で共有して、組織的な対応を行う。具体には、下記の取り組みをすすめる。

ア)いじめの定期的調査

・生徒対象アンケート調査・・・・・ 年3回(6月、11月、2月)
・保護者対象カウンセリング・・・・ 年2回
(学期末の三者懇談等7月、12月)
・生徒対象カウンセリング・・・・ ・年3回(6月、11月、2月)

イ)いじめ相談体制

・いじめ相談窓口の設置
・いじめ等悩み相談箱の設置(生徒会の目安箱等)
・スクールカウンセラーの活用

※留意点

①アンケートは、学期ごとなどの節目で生徒の生活や人間関係の状況を把握できるよう、全ての学級において年度当初に適切に計画を立て実施するとともに、全生徒との面談等に役立てることが大切である。ただし、アンケートはあくまで手法の一つであり、教員と生徒の信頼関係の上で初めてアンケートを通じたいじめの訴えや発見がありうること、アンケートを実施した後に起きたいじめについては把握できないことなどに留意する。
②生徒に対して多忙さやイライラした態度を見せ続けることは避ける。生徒の相談に対し,「大したことではない」「それはいじめではない」などと悩みを過小評価する,相談を受けたにもかかわらず真摯に対応しないということは、あってはならない。

 

(3)いじめに対する措置

① 基本的な考え方(早期対応、組織的対応)

・発見・通報を受けた場合には、特定の教職員で抱え込まず、速やかに組織的に対応する。
・被害生徒を守り通すとともに、教育的配慮の下、毅然とした態度で加害生徒を指導する。
・加害生徒に対し謝罪や責任を形式的に問うことに主眼を置くのではなく、社会性の向上等、生徒の人格の成長に主眼を置いた指導を行う。教職員全員の共通理解の下、保護者の協力を得て、関係機関・専門機関と連携し、対応に当たる。

 

② いじめの発見・通報を受けたときの対応(早期対応、組織的対応)

・遊びや悪ふざけなど、いじめと疑われる行為を発見した場合、その場でその行為を止める。生徒や保護者から「いじめではないか」との相談や訴えがあった場合には、真摯に傾聴する。ささいな兆候であっても、いじめの疑いがある行為には、早い段階から的確に関わりを持つ。その際、いじめられた生徒やいじめを知らせてきた生徒の安全を確保する。
・発見、通報を受けた教職員は速やかにいじめ対策委員会に報告する義務を負う(報告を怠るのは規定違反に当たる)。その後は、いじめ対策委員会が中心となり,速やかに関係生徒から事情を聴き取るなどして、いじめの事実の有無について確認を行う。事実確認の結果は,校長が責任を持って学校の設置者に報告するとともに、校長の指示のもと被害・加害生徒の保護者に連絡する。
・学校が、加害生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず,その指導により十分な効果を上げることが困難な場合において,いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものと認めるときは、被害生徒を徹底して守り通すという観点から、ためらうことなく所轄警察署と相談して対処する。

 

③ 被害生徒又はその保護者への支援について

・被害生徒から事実関係の聴取を行う。その際、被害生徒にも問題があるという考え方はあってはならず、「あなたが悪いのではない」ことをはっきりと伝えるなど,自尊感情を高めるように指導する。
・生徒の個人情報の取扱い等,プライバシーには十分に留意し、以後の対応を行っていく。
・家庭訪問等により,その日のうちに保護者へ事実関係を伝える。いじめられた生徒や保護者に対し、徹底して守り通すことや秘密を守ることを伝え、できる限り不安を除去するとともに、事態の状況に応じて,複数の教職員の協力の下、当該生徒の見守りを行うなど、被害生徒の安全を確保する。
・被害生徒にとって信頼できる人(親しい友人や教職員、家族、地域の人等)と連携し、被害生徒に寄り添い支える体制をつくる。被害生徒が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、必要に応じて加害生徒を別室において指導することとしたり、状況に応じて出席停止制度を活用するなど、被害生徒が落ち着いて教育を受けられる環境の確保を図る。
・状況に応じて、心理や福祉等の専門家、教員経験者・警察官経験者など外部専門家の協力を得る。
・いじめが解決したと思われる場合でも,継続して十分な注意を払い、折りに触れ必要な支援を行う。また,事実確認のための聴き取りやアンケート等により判明した情報を適切に提供する。

※留意点
被害生徒・保護者の言うがままに指導や行動をしてしまうことがないように、アセスメントとプランニングに基づいた、いじめ解決までの学校としての方針をしっかりと説明し協力を求めること。

 

④ いじめた生徒への指導又はその保護者への助言について

・いじめたとされる生徒からも事実関係の聴取を行い、いじめがあったことが確認された場合、学校は、複数の教職員が連携し、必要に応じて心理や福祉等の専門家、教員・警察官経験者など外部専門家の協力を得て、組織的に、いじめをやめさせ、その再発を防止する措置をとる。
・事実関係を聴取したら、迅速に保護者へ連絡し、事実に対する保護者の理解や納得を得た上、学校と保護者が連携して以後の対応を適切に行えるよう保護者の協力を求めるとともに、保護者に対する継続的な助言を行う。
・いじめた生徒への指導に当たっては、いじめは人格を傷つけ、生命、身体又は財産を脅かす行為であることを理解させ、自らの行為の責任を自覚させる。なお、加害生徒が抱える問題など、いじめの背景にも目を向け、当該生徒の安心・安全、健全な人格の発達に配慮し、生徒の個人情報の取扱い等、プライバシーには十分に留意して以後の対応を行っていく。また、子ども家庭センターや警察等の外部機関と連携を図り、加害生徒やその保護者に学校以外からの視点で相談にのってもらったり、指導してもらうなども行っていく。
・いじめの状況に応じて、心理的な孤立感・疎外感を与えないよう一定の教育的配慮の下、特別の指導計画による指導のほか、さらに出席停止や警察との連携による措置も含め、毅然とした対応をする。教育上必要があると認めるときは、学校教育法第11条の規定に基づき、適切に、生徒に対して懲戒を加えることも検討していく。
・いじめには様々な要因があることに鑑み、加害生徒や保護者に対しても寄り添う教師と厳しく対応する教師の役割を明確にしておくことが大切である。また、懲戒※を加える際には、主観的な感情に任せて一方的に行うのではなく、教育的配慮に十分に留意し、加害生徒が自ら行為の悪質性を理解し、健全な人間関係を育むことができるよう成長を促す目的で行う。
※懲戒とは,学校教育法施行規則に定める退学(公立義務教育諸学校に在籍する 学齢児童生徒を除く。)、停学(義務教育諸学校に在籍する学齢児童生徒を除く。)、訓告のほか、生徒に肉体的苦痛を与えるものでない限り,通常,懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為として、注意、叱責、居残り、別室指導、起立、宿題、清掃、学校当番の割当て、文書指導などがある

 

⑤ いじめが起きた集団への働きかけも重要

・いじめを見ていた生徒に対しても、自分の問題として捉えさせる。たとえ、いじめを止めさせることはできなくても、誰かに知らせる勇気を持つよう伝える。
・はやしたてるなど同調していた生徒に対しては、それらの行為はいじめに加担する行為であることを理解させる。
・学級や学年、学校全体で話し合うなどして、いじめは絶対に許されない行為であり、根絶しようという態度を行き渡らせるようにする。
・いじめの解決とは、加害生徒による被害生徒に対する謝罪のみで終わるものではなく、被害生徒と加害生徒を始めとする他の生徒との関係の修復を経て、双方の当事者や周りの者全員を含む集団が、好ましい集団活動を取り戻し、新たな活動に踏み出すことをもって判断されるべきである。全ての生徒が、集団の一員として、互いを尊重し、認め合う人間関係を構築できるような集団づくりを進めていく。

 

⑥ ネット上のいじめへの対応について(情報モラルの育成)

・ネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、発覚した場合は、直ちに削除する措置をとる。名誉毀損やプライバシー侵害等があった場合、プロバイダは違法な情報発信停止を求めたり、情報を削除したりできるようになっているので、プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な措置を講じる。こうした措置をとるに当たり、必要に応じて法務局又は地方法務局の協力を求める。
・生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、直ちに所轄警察署に通報し、適切に援助を求める。
・パスワード付きサイトやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、携帯電話のメールを利用したいじめなどについては、より大人の目に触れにくく、発見しにくい。特別授業を行ったり、講師を招いての講演などを開催するなど、学校における情報モラル教育を進めるとともに、保護者に対してもこれらについての理解を求めていく。
・また、日々変わっていくネット社会に対応するために、教員が研修する機会を設けるなど、ネットトラブルに対応できる取り組みを定期的に行う。

 

⑦ いじめの解消について
・単に謝罪をもって安易に解消とすることはできない。少なくとも以下の2つの要件が満たされている必要がある。
○いじめに関わる行為が止んでいること
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為が止んでいる状態が相当の期間(目安は3ヶ月)継続している。
○被害生徒が心身の苦痛を感じていないこと
被害生徒及びその保護者に対し心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。
・これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ他の事案も勘案して判断するものとする。

(4)その他の留意事項

① 組織的な指導体制

・いじめへの対応は、校長を中心に全教職員が一致協力体制を確立することが重要であり、一部の教職員や特定の教職員が抱え込むのではなく、<u.いじめ対策委員会で情報を共有し、組織的に対応することが必要であり、いじめがあった場合の組織的な対処を可能とするよう、平素からこれらの対応の在り方について、全ての教職員で共通理解を図る。
・いじめの問題等に関する指導記録を保存し、生徒の進学・進級や転学に当たって、適切に引き継いだり情報提供したりできる体制をとる。
・必要に応じて、心理や福祉の専門家、弁護士、医師、教員・警察官経験者など外部専門家等が参加しながら対応することにより、より実効的ないじめの問題解決にあたる。

 

② 校内研修の充実

・全ての教職員の共通認識を図るため、少なくとも年に一回以上、いじめを始めとする生徒指導上の諸問題等に関する校内研修を行う。教職員の異動等によって、教職員間の共通認識が形骸化しないために、年間計画に位置づけた校内研修を実施する。
生徒が、いじめの問題を自分のこととして捉え、考え、議論することにより、いじめに正面から向き合うことができるよう、道徳教育の充実を図るとともに教職員の指導力向上を図る。

 

③ 学校評価と教員評価

・学校評価において、いじめの問題を取り扱うに当たっては、学校評価の目的を踏まえて行う。この際、いじめの有無を評価するのではなく、問題を隠さず、いじめの実態把握や対応が促されるよう、生徒や地域の状況を十分踏まえた目標の設定や、目標に対する具体的な取組状況や達成状況を評価し、学校評価の結果を踏まえてその改善に取り組む。
・教員評価において、いじめの問題を取り扱うに当たっては、いじめの問題に関する目標設定や目標への対応状況を評価する。この際、いじめの有無のみを評価するのではなく、日頃の生徒理解、未然防止や早期発見、いじめが発生した際、問題を隠さず、迅速かつ適切な対応、組織的な取り組み等が評価されるよう留意する。

 

④ 地域や家庭との連携について

・学校基本方針等について地域や保護者の理解を得ることで、地域や家庭に対して、いじめの問題の重要性を広めるとともに、家庭訪問や学校通信などを通じて家庭との緊密な連携協力を図る。例えば、学校、PTA、地域の関係団体等がいじめの問題について協議する機会を設けたり、学校運営協議会を活用したりするなど、地域と連携した対策を推進する。
・より多くの大人が、子どもの悩みや相談を受け止めることができるようにするため、学校と家庭、地域が組織的に連携・協働する体制を構築する。

 

3.重大事態への対処
(1)重大事態とは(いじめ防止対策推進法第28条第1項)

・いじめにより生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。(第1項第1号)
・いじめにより相当の期間(年間30日を目安とする)学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。(第1項第2号)

※留意点
①重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態として対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければなりません。
②いじめを受けた生徒や保護者から、いじめにより重大事態に至ったという申し立てがあったときは、重大事態が発生したものとして報告・調査に当たる。
③「重大事態」が発生した場合は、その疑いがある場合を含めて、地方公共団体の長へ報告した上で、調査機関を設けて調査を行うことが義務付けられている。

(2)基本的姿勢
いじめを受けた生徒や保護者のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たる。

(3)調査の主体
調査の主体は、学校が主体となって行う場合と、学校の設置者が主体となって行う場合があり、学校の設置者が判断する。
※これまでの経緯や事案の特性、いじめを受けた児童生徒又は保護者の訴えなどを踏まえ、学校主体の調査では、重大事態への対処及び同種の事態の発生の防止に必ずしも十分な結果を得られないと学校の設置者が判断する場合や、学校の教育活動に支障が生じるおそれがあるような場合には、学校の設置者において調査を実施する。

(4)学校が主体となって調査を行う場合調査組織については以下の2つの方法がある。
①いじめ対策委員会に第三者を加えて調査を行う。
②学校が第三者委員会を立ち上げる。
※組織の構成については、専門的知識及び経験を有し、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない第三者の参加を図ることにより、当該調査の公平性・中立性を確保する。

(5)調査の実施
①調査の内容

重大事態に至る要因となったいじめ行為が「いつから」「誰から」「どのような様態であったか」「いじめを生んだ背景」「学校・教職員の対応」等の事実関係をできる限り明確にする。
②調査の報告
学校又は学校の設置者は、被害生徒やその保護者に対して、調査によって明らかになった事実関係について、被害生徒やその保護者に対して説明する。これらの情報の提供にあたっては、学校又は学校の設置者は、他の生徒のプライバシーに配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供する。
重大事態に関する調査結果を公表するか否かは、学校及び学校の設置者として、事案の内容や重大性、被害生徒保護者の意向、公表した場合の生徒への影響等を総合的に勘案して、適切に判断し、被害生徒・保護者に対して、公表の方針について説明を行う。

④調査結果を踏まえた措置
・重大事態に至った状況の整理と再発防止策の検討。
・いじめに関係した生徒・保護者への継続的な支援。
・学級や全校の生徒への指導。
・加害生徒への毅然とした指導。
・再発防止策についての報告。
・学校のいじめ防止についての取組確認といじめ防止基本方針の見直し。

【重大事態対応フロー図】

 

問題行動対応チャート(三中Ver.)
問題行動対応チャート(三中Ver.)